世界の崩壊と塔とドリル

 ファイナルファンタジー6をやりなおしている。

 FF6はたいへん面白いゲームである。なにしろゲームの折り返し地点あたりで全世界が崩壊してしまうという、ファイナルの名に恥じぬ超展開をみせる。崩壊したあとの荒れ果てた世界には「瓦礫の塔」という建造物がたっており、ラスボスであるケフカがそこから荒廃した世界を見下ろしている。世界を壊したときにできた瓦礫を寄せ集めて作ったのだろうか。同時に、ケフカを神と崇める「狂信者の塔」という塔も突然できる。世界が崩壊すると、なぜか塔と宗教が生まれるのである。

 新しい世界を作るために一度世界をサラ地にし、そこに自分が神として君臨する。ケフカはすごいことを考えるやつである。ちなみに僕は小学校の卒業文集の中で「生まれ変わったらなりたいものは」という問いに対してケフカと書いていた。僕は当時からたいそう悪役贔屓な子供だった。

 そういえば原作のスーパーファミコン版にはバグがあって、装備できないはずのアイテムをなんでも装備できてしまうという裏技があった。装備させるアイテムによってはキャラがものすごく強くなってしまい、ゲームバランスが崩れてしまうのだが、僕は全員の「あたま」に「ドリル」を装備させていた。そうするとなぜか防御力が最大まであがり、敵からはほとんどダメージを受けなくなった。僕にとってFF6は、頭からドリルを生やした4人組の男女が崩壊した世界を練り歩くファンタジーだった。

 Wikipediaで発売日を見ると1994年だった。ケフカが世界を滅ぼしてから18年も経っていたとは思わなかった。